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「…やっぱり、せんせーに、ごめんなさいってすればいいやっ!」


学校がはじまるまで、あと2日。
ドッサリたまった宿題を見て、ボクはひとりでかんがえてた。

ムリ。やっぱりムリ。
こんな量、ゼッタイにおわるわけないじゃんっ。

そりゃ、休みが始まってからさ、少しずつやればよかったんだろうけど。
アイドルをはじめてから、みんなで一緒にいることが多くなって。
練習もたのしいし、オシゴトもたのしいし。
宿題をやるヒマなんて、ぜんぜんなかったんだもん。

だから、宿題をやらないのは…フカノーリョク…なんだよ!
あれ? フカコージョク…? フカコンニャク?

「ま、なんでもいーかっ」

目の前にいちおう開いたノートをとじる。
あ、ふでばこから、エンピツ出すのも忘れてたや。
あははははっ!

ランドセルにノートをしまって、オシマイってしようと、ごそごそしてた時。


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「あ、りんりんにもらった、あたらしい曲のCD…」

中に入っていたのは、ボクたち「ろーらいず!!!」のあたらしい曲が入ったCD。
こないだの学校の登校日にりんりんから渡されてたんだった。

さっそく、パパに借りたCDプレーヤーにセットして、再生ボタンをおす。
イヤホンから、はじめての音楽が流れだす。

「お、おお……なんか、ぴょんぴょんしたくなる曲だーっ!」

ハナ歌がふんふーんとしぜんにでてくる。
CDと一緒にもらった歌のカードを見て、からだがウズウズしてくる。

「すごい、たのしいっ!」
「これみんなでおどってうたったら、きっとキモチイイよっ!」
「あ、でもののっち、これおどれるかなあ…けっこう早いリズムだけど」


うれしくなって、指でリズムとかとっちゃったりして。
みんなのおどりとかを考えながら、
歌詞をじっくりみようと、歌のカードをちゃんと広げてみた。
そしたら…

『これ、ちゃんときいときなさいよっ。こんど会うまでの宿題だかんねっ!』

おれてた紙のはじっこに、そんなことが書いてあった。
これは、りんりんの文字だ。


宿題。
この2文字を見て、ボクは思い出した。


「うーん、なんかボク、きょねんも、その前も、同じこといってたきがする…」


さっきあきらめた、宿題のこと。

ゼンゼンできなくて、せんせーにごめんなさいして。
あやまったら、居残りで少し勉強すればユルしてくれるから、
それでいいかなって。

でも、そのときはオシゴトもなかったから、時間はあった。
『やれるんだけど、やらなかった。』それだけだった。

「…なんか、ヤダな」

頭のなかがムズムズする。
なんでだろう、さっきまでぜんぜん、だいじょーぶだったはずなのに。
『そんなのダメ』って、だれかに言われてるような…。


「…兄ちゃん、おこるかなあ……」


ふと、兄ちゃんのことをかんがえる。

ボクがいっしょうけんめいにオシゴトをしたら、
『こげ、がんばったな』ってグリグリしてくれる、兄ちゃんの手。

それをみて、いっしょにうれしそうに笑ってくれる、
ののっちや、りんりん。

それを思い出すたびに、顔がぽわぁってアツくなる。
なんでだかわからないけど、うれしくて、ドキドキする。


友達とはちがう……ナカマ。

それは、きょねんまでとちがって、今年できたもの。


ナカマに、もっとわらっていてほしい。
そしてボクは、ナカマに、いっぱいいっぱいホメてほしい。


そのためには、ボクはもっとがんばらなきゃ。
やれるのに、やらないなんてダメなんだ。
やれることは、やらなきゃダメなんだっ。


「…うんっ!」
「宿題、できるところまでやろっ!」


一度しまいこんだノートを、もう一回とりだして。
新しい曲をBGMにしながら、ボクは机にむかう。


「よーしっ、がんばるぞーっ!」

……

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夏休み最後の日。

あつまってわかったのは、結局みんな宿題がおわってなかったってこと。
もちろん、ボクもそのひとりだけど。

でも、みんな、自分のトクイなところはちゃんとおわらせてて。
「みんないっしょだねーっ」って笑ってたら、横で兄ちゃんもヘンな顔して笑ってて。

兄ちゃんやみくみくにもてつだってもらって、
ボクははじめて、夏休みの宿題をおわらせることができた。

でも、これはボクだけで出来たわけじゃないから。
オシゴトといっしょで、
みんな…ダイスキなナカマといっしょに、がんばったから出来たんだ。


だからね。

ボクは今日、学校で、せんせーにこう言うことにしたの。


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「せんせーっ、ナカマにてつだってもらって、ごめんなさいっ!」


ろーらいず!!!